SCOPE
地下鉄サリン事件に対する聖路加国際病院の対応—サリン中毒の診療と医療情報伝達
大生 定義
1
,
山科 章
1
,
高須 伸克
2
1聖路加国際病院内科
2聖路加国際病院救急部
pp.1449-1453
発行日 1995年7月10日
Published Date 1995/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402903772
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本年3月20日午前8時頃,前代未聞の事件が勃発した.地下鉄内でのサリン散布事件である.本院は地下鉄日比谷線築地駅の近くに位置し,事件当日は640名,その後も加えると,1週間で延べ1,410名のサリン中毒患者の加療にあたることとなった.この事件は軍事機密になっているものを除けば,世界史上初めての多数を巻き込んだサリン中毒事件である.被害者の診療にあたり,医学的な面だけではなく,非常時の決断方式や,情報管理などにも多くの教訓をもたらした1).この経験を読者諸氏に共有していただくことは,将来の非常事態時に対する医療機関の対応のあり方を探る意味でも重要と考え,ここにその一部を報告する.最初にまず実際の診療の流れから述べる.
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