今月の主題 脂質代謝と動脈硬化
合併症のある高脂血症の治療
糖尿病における高脂血症の治療の実際と注意点
村上 透
1
1聖マリアンナ医科大学難病治療研究センター社会医療部門
pp.760-762
発行日 1995年4月10日
Published Date 1995/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402903611
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ポイント
●糖尿病における動脈硬化惹起性リポ蛋白異常としては,高VLDL血症,低HDLコレステロール血症が重要である.さらにsmall dense LDL,糖化LDL,Lp(a)などを考慮する必要がある.
●虚血性心疾患の危険因子が糖尿病患者にすでに存在している場合は,LDLコレステロールが130〜160mg/dl,トリグリセリドが200〜400mg/dlの境界領域であっても積極的に薬物療法を考慮すべきである.
●虚血性心疾患が存在している糖尿病患者については,LDLコレステロールを100mg/dl以下,トリグリセリドを150mg/dl以下にすべきである.
●インスリン非依存性糖尿病に,ニコチン酸を1日4.5g使用すると血漿コレステロールが24%,トリグリセリドが45%減少し,HDLコレステロールが35%上昇する.さらにこの薬物はLp(a)低下作用を有している.
●ジェムフィブロジルはトリグリセリド減少およびHDLコレステロール増加をもたらし,糖尿病の脂質異常是正に有用である.また,LDL粒子サイズの変化に好ましい影響を与えている可能性がある.
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