薬を正しく使うためのDrug Information—副作用について・13
抗ウイルス薬によるショック
大槻 マミ太郎
1
,
玉置 邦彦
1
1東京大学医学部皮膚科
pp.199-201
発行日 1995年1月10日
Published Date 1995/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402903480
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抗ウイルス薬の副作用とその報告例
抗ウイルス薬によるショックというと,ジドブジン(AZT)その他の抗HIV治療薬によるものも含むが,ここでは皮膚科の日常診療上使用する機会の多い抗ウイルス薬であるアシクロビル(ゾビラックス®)とビダラビン(アラセナーA®),中でも副作用としてショック症例の報告のあるそれらの注射剤に絞って述べることにする.
アシクロビル(ゾビラックス®)は,1979年に合成されたプリン骨格を有する抗ウイルス薬で,ヘルペスウイルス特異的チミジンキナーゼによるリン酸化により活性化されてウイルスのDNAポリメラーゼ阻害作用を発揮するため,正常細胞にはほとんど作用しない選択性の高い薬剤と考えられ,臨床で広く使用されている.単純ヘルペス感染症および水痘・帯状疱疹ウイルス感染症に対して効果があり,1985年に注射剤と眼軟膏が,そして1988年には錠剤が承認された.錠剤は当初単純ヘルペス感染症についてのみ承認されていたが,1992年には水痘・帯状疱疹ウイルス感染症に対しても承認され,1錠中400mgを含む剤型が追加され,さらに1993年には単純性疱疹に対して眼軟膏に加え5%軟膏が承認されており,その使用頻度は年々増加傾向にある.
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