臨床医に必要な老人をみる眼・12
廃用症候群の再認識—“寝たきり予防”のために
大川 弥生
1
,
上田 敏
1
1帝京大学市原病院リハビリテーション科
pp.196-198
発行日 1995年1月10日
Published Date 1995/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402903479
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◆はじめに
近年“寝たきり”老人に関しての種々の問題が,医療に限らず社会問題としてもさまざまな立場から論じられ注目されてきている.この問題はこのように多様な面から論じられてしかるべきものであるが,医療自体の問題としても反省すべき点がないわけではない.そのなかで最も根源的な問題は,わが国における「廃用症候群」についての認識の不十分さである.いわゆる“寝たきり”とは,必ずしも病気自体のために必然的に寝たきりにならざるをえなかった者ばかりではない.半数以上は本当ならば寝たきりにならなくてすんだはずの,いわゆる“つくられた寝たきり”なのである.例えば,最初は風邪で数日臥床したり,腰痛で活動性が低下したりという,ほんのちょっとしたことがきっかけとなって生活が不活発となり,それによって廃用症候群→体力低下→易疲労性→一層の体動不足→一層の廃用という悪循環に陥って,その結果“寝たきり”となってしまうのである.
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