書評
—長澤 将 著—Dr.長澤印 輸液・水電解質ドリル
龍華 章裕
1
1リウゲ内科小田井クリニック
pp.731
発行日 2024年4月10日
Published Date 2024/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402229535
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私は最近まで3次救急病院で働いていたが,3次救急病院はその病院の特殊性からか電解質異常の症例に満ち溢れている.病棟で研修医や若手の内科専攻医と診療をしていると,彼らがいかに電解質異常の診療に苦手意識をもっているかがよくわかる.これは,おそらく,「細菌性肺炎→抗菌薬投与」といったような,ルーチンでの対応が電解質異常では現実的ではないからだと思う(そこに面白さがあるようにも思うが).例えば低Na血症.その原因は多岐にわたり,その治療方法も病態によって使い分けが必要であり,目の前に低Na血症の患者さんがいても,若手の医師は次にどのようなアクションを起こせばよいのかわからないのだ.
このたび,長澤将先生の『Dr.長澤印 輸液・水電解質ドリル』が上梓された.学会関連のWEB会議でご一緒させていただいたことがあり,一方的に存じ上げていたが,ここ数年は若手の先生が腎臓内科をローテーションしてくると,長澤先生の本を携帯していることが多く,長澤先生の「とっつきにくい腎疾患を若手に教えること」における影響力の大きさを感じざるを得ない状況である.さらに,先日の日本腎臓学会総会(2023年)では,前方の席でたくさんメモされている姿を目にし,長澤先生の影響力はこの勤勉さから来るのか,と思ったのを昨日のことのように思い出す.そんな長澤先生の書かれた本書は,「まさに超現場至上主義」である.
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