連載 ERの片隅で・9
傾聴と病歴聴取は似て非なるもの
関根 一朗
1
1湘南鎌倉総合病院【湘南ER】
pp.2354-2355
発行日 2023年12月10日
Published Date 2023/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402229344
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深夜0時、準夜帯の混雑の影響が残り、ERはまだ慌ただしい雰囲気である。そんななか、救急搬送を告げるアナウンスが流れた。「8分後、救急車入ります。28歳男性、主訴 腰痛。就寝前に外傷歴なく腰部全体の痛みを発症し救急要請。既往歴なし、バイタルサイン異常なし。」
研修医がエコーを初療室に準備しながら、関根に診療方針を宣言する。「既往歴のない若年男性の腰痛は尿路結石ですね! エコーで水腎症がないか確認して、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)で鎮痛します。」関根は深夜帯のルーチン業務である電子カルテの再起動をしながら応える。「勢いがいいね。尿路結石を疑ってエコーを行うときは、腹部大動脈瘤や総腸骨動脈瘤の破裂を除外するつもりで腎臓以外も評価しようね。でも、左右差のない腰部全体の痛みって尿路結石としては違和感があるなぁ。」
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