連載 医学古書を紐解く・8
時を超えて偉人を側に感じる古書の魅力—Heberden W. 『Commentaries on The History and Cure of Diseases』
陶山 恭博
1
1NTT東日本関東病院 リウマチ膠原病科
pp.1530-1533
発行日 2023年8月10日
Published Date 2023/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402229103
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最後のローマ人,そして英国の至高
私がWilliam Heberdenの『Commentaries on The History and Cure of Diseases』1)と出合ったきっかけは,医学書院の『総合診療』誌からの“好きなエポニムについて執筆してください”という依頼だった.ある日,「あぁ,これはHeberden結節ですね」と説明していた診察中,ふと「Heberden先生って,どんな人なんだろう」と興味が湧いた.調べ始めたところ,“リウマチ学の父”と呼ばれる偉人であったことを知り,ぜひシェアしたいと思い執筆したのが,「Heberden結節 関節炎の分類の礎となった身体所見」である2).
欧州リウマチ学会の機関誌である『Annals of Rheumatic Diseases』は,1962年にHeberdenの伝記を掲載している3).そこにはWilliam OslerがHeberdenについて「英国のCelsus(ラテン語で“至高”の意)」と讃えていたこと4)などが記されている.さらにシェークスピア全集などをまとめた巨匠であるSamuel Johnson博士からは「ultimus Romanorum, the last of our learned physicians(最後のローマ人,当代随一の学究的臨床医)」と賞賛されていたとも書かれており,これはHeberdenが彼の主治医であり,また日々のノートをすべてラテン語で記載していたことに由来する.
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