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本誌で脳卒中の特集企画が組まれるのは西山和利先生(北里大学脳神経内科)が『脳卒中はこう診る—新ガイドラインで何が変わったか』として企画された53巻2号(2016年2月号)以来,実に7年ぶりである.この間,脳卒中を取り巻く環境は大きく様変わりし,脳卒中・循環器病対策基本法の成立・公布(2018年),血栓回収療法のtime window拡大(2018年),一次脳卒中センター(primary stroke center:PSC)の認証(2019年),脳卒中と循環病克服第二次5ヵ年計画と循環器病対策推進計画(2021年),など枚挙にいとまがない.これら脳卒中制圧に向けた動きに対し,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)蔓延による医療崩壊が大きな影を落としている.対面での学会参加も制限され,現地に居てこその空気感や肌感覚を得る機会も失われて久しい.このような背景を踏まえ,今回の特集は「脳卒中治療ガイドライン2021」,「ディベート・セクション」,「令和の脳卒中事情」,「読者の識りたいに応える」の4部構成とした.
まず2021年7月に発刊された『脳卒中治療ガイドライン2021』を紹介し,「ディベート・セクション」では10のテーマを取り上げた.これらはエビデンスのない未解決の課題や,治療に携わる医療者の裁量に委ねられるものであり,「ガイドラインのその先」に位置する内容に当たる.執筆者には自身の治療スタンスを捨て,指定されたPro/Conの立場で執筆いただくよう依頼した.課題を明確化したうえで企画立案者がコメントを残し,読者の知識の定着を図る.対面学会で採用されるディベート・セッションを紙面上で再現する試みと理解いただきたい.
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