書評
—稲葉 吉隆,女屋 博昭,清水 淳市,前田 章光 編—がんCT画像読影のひきだし
松尾 宏一
1,2
1福岡大学薬学部・臨床薬学
2福岡大学病院薬剤部
pp.1621
発行日 2022年9月10日
Published Date 2022/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402228468
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がん医療の現場では,多種職・多診療科によるキャンサーボードなどのカンファレンスが広く行われ,薬剤師や看護師などの医療チームのメンバーが,これまで以上にCT画像を見る機会が増えている.しかしながらメディカルスタッフが読影に関する教育を受ける機会は乏しく,放射線科医が普段から「どのように捉え」,「何を予測しながら」読影しているか知ることは難しい.
本書のポイントは「序」にあるように,到達目標を「自力でCT読影ができる」という高いレベルに置くのではなく,若手のメディカルスタッフが「症例報告会における医師の議論やカルテの記載内容を理解し,患者さんの病態をより深く理解できるようになる」という,取り組みやすくかつ実践的なレベルに設定したことだ.そのため,全編において難解な理論については深く立ち入らずにシンプルな内容に徹し,CT画像に詳しくない読者でもスムーズに内容を理解できる.とはいえ,初学者が学習すべきことはしっかり押さえられており,その結果,本書のターゲットであるがん医療に携わるメディカルスタッフにとって非常に理解しやすい入門書となっている.
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