増刊号 一人でも慌てない!—「こんなときどうする?」の処方箋85
どうする? 内分泌
25 メタボリック症候群への愛のムチ
来住 知美
1
1国立病院機構大阪医療センター感染症内科
pp.138-142
発行日 2019年4月1日
Published Date 2019/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402226136
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「わかっちゃいるけどやめられない!」.これをいかにサポートするかは,外来医として腕の見せ所である.故・日野原重明医師は,不適切な食生活,運動不足,喫煙などで起こる病気を「生活習慣病」と呼び,生活習慣の介入の必要性をいち早く訴えた.メタボリック症候群(内臓脂肪症候群)は生活習慣病を発展させた概念で,内臓脂肪型肥満を共通の要因とする高血糖,脂質異常症,高血圧を呈する病態である.これらの要素が重複すると虚血性心疾患や脳血管疾患などのリスクが高まると考えられている1).
メタボリック症候群は概して無症状で,患者の「困り感」は乏しい.しかし,高血糖,脂質異常症,高血圧の境界領域期から適切な介入を行うことにより生活習慣病を防ぎ,重症化・合併症を防ぐことができる.この知見に基づき本邦では2008年から,メタボリック症候群の対策として特定健診と特定保健指導が行われている.本稿では,外来でできる生活指導「愛のムチ」のポイントを整理し,短時間の外来で「わかっているし,やめられる」ように行動変容をサポートするヒントを提示する.主に,高血糖,脂質異常症,高血圧に対する具体的な介入ポイントを以下に示す.
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