特集 自信をもって対応する—虚血性心疾患
扉
中川 義久
1
1天理よろづ相談所病院循環器内科
pp.1763
発行日 2017年10月10日
Published Date 2017/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402225143
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虚血性心疾患は,循環器内科では最も患者数の多い疾患カテゴリーであり,循環器内科を専門としない一般内科医であっても遭遇する機会は多い.診断と治療にスピード感が求められ,生命にも関わる状態の患者に対して適切に対応する能力を身につけることはすべての内科医にとって必須である.
虚血性心疾患では冠動脈の閉塞や狭窄などにより心筋への血流が阻害され,心臓に障害が起こる.狭心症や心筋梗塞がこの疾患の代表である.急性心筋梗塞と不安定狭心症は,冠動脈のプラーク破綻を起点として血栓形成が急速に進行するという点で病態生理学的に共通することから,急性冠症候群と総括されている.急性冠症候群は,さらにST上昇型心筋梗塞,非ST上昇型心筋梗塞,そして不安定狭心症に分類される.特にST上昇型心筋梗塞では,冠動脈の早期再開通が予後改善のために重要で,一刻も早く確実に血行再建することが主眼となる.一般内科医にとっても,クリニックの外来や当直医として対応する救急において,急性心筋梗塞に遭遇することは稀ではない.本特集においては基礎的な知識から最先端のトピックスまでを網羅するように工夫した.急性冠症候群,特にST上昇型心筋梗塞患者では,発症後早期に重篤な転帰をたどり病院の救急外来まで到達できない症例も多い.この生命予後改善のためには,病院という枠組みを越えた社会的なシステム構築が必要とされる.このプレホスピタル治療への取り組みについても紹介している.
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