特集 自信がもてる頭痛診療
なんといっても頻度の高い一次性頭痛を診る
【片頭痛】
Column
頭痛のガイドラインと分類の進化
荒木 信夫
1
1埼玉医科大学神経内科
pp.1309
発行日 2015年7月10日
Published Date 2015/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402223605
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筆者が医師になった約35年前,頭痛の診断については,米国のAdHoc committeeが作成した頭痛の分類表をもとに行うことを習った.しかし,実に簡単な分類で診断基準もなく,米国ではどのように診断するのかを推測して頭痛の診断をしてきた感がある.
1988年,国際頭痛学会はThe International Classification of Headache Disorders1)を発表し,世界で共通の頭痛研究の基盤ができた.それに応じて,わが国でも日本頭痛学会,日本神経学会が中心となり慢性頭痛の研究が進み,2002年には日本神経学会治療ガイドラインの一つとして,「慢性頭痛治療ガイドライン2002」2)が出版された.2004年になり,国際頭痛学会はThe International Classification of Headache Disorders, 2nd ed(ICHD-Ⅱ)3)を発表した.これに応じて,厚生労働科学研究費補助金こころの健康科学研究事業として,慢性頭痛の診療ガイドライン作成における研究班(主任研究者:坂井文彦氏)が中心となり,2005年に「慢性頭痛の診療ガイドライン」がまとめられ,2006年に「慢性頭痛の診療ガイドライン」[日本頭痛学会(編)]4)が出版された.また,2007年にはICHD-Ⅱを日本語に訳した「国際頭痛分類,第2版,新訂増補日本語版」(日本頭痛学会・国際頭痛分類普及委員会)5)が出版された.このガイドラインができたことにより,わが国でも多くの頭痛外来が作られ,片頭痛急性期治療薬のトリプタンがより普及し,片頭痛の予防薬も認知されるようになってきた.
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