増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第4集
尿検査
6.ブドウ糖以外の尿糖
崎山 武志
1
,
渡邊 干晶
2
1日本大学医学部・小児科(駿河台病院)
2日本大学医学部・小児科
pp.1636-1638
発行日 1989年9月10日
Published Date 1989/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222695
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●ブドウ糖以外の尿糖を認める疾患
通常,成人の尿中で尿糖を認める場合は,そのほとんどがブドウ糖尿である.しかし,新生児や妊婦あるいはある種の食物を大量に摂取した成人には,時にブドウ糖以外の尿糖を生理的にも認めることがある.日常検査で,ブドウ糖尿を認めた場合は,ブドウ糖尿がそれ以外の尿糖に伴って検出されることがしばしばあるので,他の還元糖の存在をチェックすることが望ましい.
臨床的に問題となるのは,先天性代謝異常症であるが,通常の尿糖試験紙を用いた検査ではブドウ糖以外の尿糖は検出されないため,還元法による尿糖検査を行うことが重要である.表1に尿糖の鑑別法を,表2にブドウ糖以外の尿糖を呈する原因を記した.これらの疾患の早期発見には,疑わしい症状,例えば哺乳や離乳の開始と同時に発症した嘔吐,下痢,低血糖症状とか,痙攣,黄疸,肝脾腫,発育障害などを認めた場合に表2のような各種疾患を念頭に置き,鑑別診断を進める必要がある.特に問題となる疾患は,ガラクトース尿を認めるガラクトース血症,果糖尿を認める遺伝性果糖不耐症や,乳糖尿を認める乳糖不耐症などである.また,肝障害や薬物内服によって二次性のブドウ糖以外の尿糖を認める場合があることに留意する必要がある.
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