増大号 糖尿病のすべて。 検査データに基づいた診療のポイント
3章 糖尿病診療における臨床検査
尿糖
青木 智之
1
1関口病院内分泌・糖尿病内科
キーワード:
糖尿病
,
腎性糖尿
,
尿定性検査
,
ナトリウム-グルコース共輸送体
,
SGLT
Keyword:
糖尿病
,
腎性糖尿
,
尿定性検査
,
ナトリウム-グルコース共輸送体
,
SGLT
pp.150-153
発行日 2026年2月1日
Published Date 2026/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.030126110540020150
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はじめに
糖尿病の歴史は古く,紀元前から多尿,口渇,るい痩などを来す疾患として知られていた.17世紀になると糖尿病患者の尿が甘いことから尿に糖が含まれていること,さらに19世紀になるとその本態がブドウ糖であることが認識された.このような背景からこの疾患は,古代ギリシャ語の「通り抜ける」を語源とし,多尿症状を意味する“diabetes”と,ラテン語で「蜂蜜のような,甘い」を意味する“mellitus”という単語を合わせて“diabetes mellitus”という名称が提唱された.これを踏まえて,わが国では糖尿病という言葉が当てられ,現在に至っている.同様に尿崩症も多尿を来す疾患であるが尿は甘くないため,無味を意味する“insipidus”を合わせて“diabetes insipidus”と呼ばれる.
19世紀後半になると尿糖排出の原因が,血糖値の上昇であることが示された.1889年にvon MeringとMinkowskiがイヌの膵臓を全摘すると糖尿病になることを報告した.1921年にはBantingとBestがブタの膵臓からインスリンを抽出することに成功し,血糖は膵臓から分泌されるインスリンによって調整されていることが判明した.今日,糖尿病は「インスリン作用不足によって慢性的な高血糖状態を呈する代謝疾患群」とされている.そのため,歴史的に重要な位置を占める尿糖検査ではあるが,糖尿病の診断基準には含まれていない.しかしながら,簡便な検査であるため,尿定性検査の一部としての尿糖検査は,血糖値やHbA1cとともに糖尿病診療において最も行われている検査の1つである.

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