今月の主題 消化性潰瘍とその周辺
消化性潰瘍の治療
薬物療法―粘液分泌・組織修復促進剤
森賀 本幸
1
1京都大学医学部・第1内科
pp.444-446
発行日 1988年3月10日
Published Date 1988/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221575
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消化性潰瘍の発生を攻撃因子と粘膜防御因子の対立関係の不均衡でもって説明することは,そこに胃および十二指腸粘膜が正常に保持されて機能していくための条件,すなわち健常な粘膜には攻撃因子である胃酸およびペプシンに抵抗する粘膜防御因子の存在を想定しているものである.その粘膜防御因子(粘膜関門)という概念を構成する諸因子については表のようにまとめることができる1,2).
それら粘膜防御因子を増強して消化性潰瘍の治療を目指す治療薬剤が,わが国において近年多く開発されている.その開発の背景には,消化性潰瘍のうち胃潰瘍の頻度がわが国において高いこと,その胃潰瘍の病因は粘膜防御機構の破綻ないし減弱として理解されることが多いことなどであろうと思われる.
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