講座 内科診療における心身医学的アプローチ
消化器疾患(2)—慢性胃炎,慢性肝炎
関谷 千尋
1
1旭川医科大学・第3内科
pp.1492-1495
発行日 1987年8月10日
Published Date 1987/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221068
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日本心身医学会において,心身症とは"心身症状を主とするが,その診断や治療に心理的な因子についての配慮が特に重要な意味を持つ病態"と定義されている.つまり,いいかえると,心身症とは独立した疾患ではなく,心理的要因が身体症状の発現や消長に密接な関連を有する病態をさしているものといえる.このように考えると,日常の診療において慢性胃炎として取り扱われている患者のなかには心身症的色彩の強いものが少なくないことがわかる.また,それなりに原因がはっきりしている慢性肝炎患者のなかにも,さまざまな不安や緊張,焦りなどの精神的ストレスが,肝機能改善を妨げていると思われることがある.このような慢性胃炎や慢性肝炎の患者の治療に際しては的確な心身医学的アプローチを必要とするし,またそうすることによりはじめて身体症状や所見を改善し得るのである.以下,これらの問題に関し具体的に述べてみたい.
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