今月の主題 内科医のための小児診療のコツ
小児診療の特殊性
発疹のみかた
武内 可尚
1
1川崎市立川崎病院・小児科
pp.1314-1317
発行日 1986年8月10日
Published Date 1986/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402220472
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小児期にはさまざまな発疹性疾患に罹患する.そのほとんどは,非特異的なもので,急性ウイルス感染症に合併するものであり,毎回病原診断を必要とするわけではない.発疹を主訴に来院しても,発疹だけに注目するのではなく,患者の一般状態を把握することが大切である.次に問診や直接診察で大切なことは,随伴症状についてである.全身症状としての発熱,倦怠,食欲などに始まり,呼吸器症状,消化器症状,リンパ節腫,眼脂,関節痛などの他,神経系症状などをチェックする.そして患者の疫学的状況を必ず記録する.すなわち,家族構成,住居の立地条件,保育園や学校など患児の所属する集団,ペットの有無,キャンプなどの屋外生活経験,家族の職業,患児の趣味なども必要なことがある.
次に,発疹の観察は,いわゆる記述皮膚科学の方法でポイントを押さえて診ることである.発疹1個の形状はどうか.直径何mmくらいで,辺縁は不整か否か.健常な皮膚から隆起した丘疹かどうか,盛り上がっていても中心部のみ隆起しているのか,全般的に膨隆しているのか,色調はどうか,水疱形成や痂皮の有無などである.
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