今月の主題 高血圧症—今日の治療
高血圧研究のトピックス
高血圧症における静脈血管の異常
山本 仁
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1国立循環器病センター研究所・循環動態機能部血行動態研究室
pp.1420-1421
発行日 1985年8月10日
Published Date 1985/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219885
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静脈系の特徴
静脈系は総循環血液量の約3/4もの血液を含有するため容量血管(capacitance vessels)と呼ばれる.その血液の大部分は小静脈や細静脈(venule)内に存在する.静脈血管は動脈血管に比べて壁がきわめて薄く,平滑筋や弾性線維も非常に少ない.また低圧系と称されるように内圧が低く,そのため血管外圧の影響をもろに受ける.動脈系と同様に静脈系の血管平滑筋にも交感神経が疎ではあるが分布していて,平滑筋緊張は神経体液性に調節されている.静脈系の抵抗はきわめて小さい.毛細血管直後の静脈抵抗は毛細血管の濾過圧の調節に重要な役割を果たしている.さらに静脈系は動脈系に比べて非常に大きなコンプライアンス(compliance,△V/△P)を有している1).
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