感染症メモ
院内Staphylococcus epidermidis感染症
北原 光夫
1,2
1東京都済生会中央病院・内科
2慶理応義塾大学医学部・内科
pp.369
発行日 1985年2月10日
Published Date 1985/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219641
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Staphylococcus epidermidis(S. epidermidis)は血液寒天培地において,S. aureusの黄色コロニーに比べ,白色のコロニーを形成するので,以前はS. albusと呼ばれていた.S. aureusとは,マニトール非分解,α-toxinの非産生,coagulase陰性などから区別される.S. epidermidisは皮膚の常在菌であり,腋窩,頭部,腕,鼻口などに多く存在する.S. epidermidisの感染の特微として,①異物の存在下に感染を起こす,②局所的消毒薬に抵抗力があることがあげられるが,この2つを考慮に入れると,術中にS. epidermidisが術野をとおして,異物とともに体内に入り込んだと考えられる.
S. epidermidisによる感染症でよく知られているものの1つは,人工弁に合併した心内膜炎である.人工弁心内膜炎は早期のもの(2カ月以内)と,後期に起こるものに分けて考えられるが,早期の心内膜炎の約25%,後期の10〜20%を占めるといわれる.
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