講座 Oncology・11
Oncological Emergencies(2)—癌による代謝的救急疾患
北原 光夫
1,2
Mitsuo Kitahara
1,2
1東京都済生会中央病院・内科
2慶応義塾大学医学部・内科
pp.2037-2040
発行日 1984年11月10日
Published Date 1984/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219313
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高カルシウム血症
悪性腫瘍をもっている患者にとって,高カルシウム血症は全身状態をさらに悪化させるものであり,時には急速に死に至るほどである.悪性腫瘍では,高カルシウム血症は比較的よくみられる合併症であり,また,種々の報告によれば,入院中の患者にみられる高カルシウム血症の原因としては,悪性腫瘍が最も多いといわれる(表1).高カルシウム血症の最もよくみられる腫瘍は,肺の扁平上皮癌,乳癌,頭・頸・食道癌,多発性骨髄腫,腎臓癌(hypernephroma)であるといわれ,肺の小細胞癌や未分化癌には,高カルシウム血症はほとんど稀である.大腸癌や子宮癌でも,血中のカルシウムは一般に上昇しない.
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