グラフ 胸部X線診断の基礎
撮り方と読み方(11)
新野 稔
1
Minoru Niino
1
1放射線科新野医院
pp.1996-2000
発行日 1984年11月10日
Published Date 1984/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219308
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前号に続き,肺門部のうち,左肺門陰影について解説する.
左肺門陰影
上極は右よりやや高い位置に存在し,気管支の管状陰影は中央陰影内に存在することが多く,中央陰影と連なり,下半分は中央陰影と密着し,重なっていることが多い.左肺門影の最上部は左肺動脈影であり,左主気管支は左肺動脈の内側に位置し,上葉気管支は肺動脈と交叉している.肺門影の上方にはB3bの断面が投影される.上極から上方向ならびに上斜方向に向かうA1+2の分枝が存在し,水平方向にA3が分かれているのが観察される.肺門陰影の中央近くからA4+5が水平と斜め下方向に分枝し,この高さでしばしば肺門陰影と直交し,ほぼ水平方向に走る左上葉気管支起始部の管状透亮陰影が存在する.肺静脈は心陰影左縁よりかなり中央陰影の内部で左心房に流入し,肺門部・肺野に明瞭な分岐を認めない場合が多いので追跡が困難である.肺門下極に下肺静脈の底区枝が時に観察される.
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