グラフ 胸部X線診断の基礎
撮り方と読み方(1)
新野 稔
1
Minoru Niino
1
1放射線科新野医院
pp.110-116
発行日 1984年1月10日
Published Date 1984/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218867
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連載にあたって
胸部X線単純撮影はprimary care physicians および,primary care unitでは撮影件数の最も多い代表的なX線撮影で,胸部X線単純写真のX線像はきわめて多くの診断情報を与えてくれる.近年の画像診断の進歩は新機器の登場により客観的な定量化が進んできているが,単純X線像は胸部X線診断において基本的重要性をもっている.近来,X線像での精細な病態把握への努力が積み重ねられ,その成果は日常診療の場に活用されている.X線診断は読影から始まり,観察,分析,判断,意志決定の順序をふむが,その過程,eye-brain系の因子を解析してみると,第1はX線像の入力で,それには眼の視覚特性に合ったX線写真を作ることが前提となり,X線診断者の視覚認識と表示されたX線像とのマッチングが必要であり,被写体写真処理の技術が適正であることにより,網膜を窓口とした観察が行われ,ついで所見の分析と判断が行われる.これはいままで記憶認識された解剖学的知識と所見との対比であり,次に疾患名のふりあて行為,所見と疾患名の対応作業で,認識方法が規格化されていると疾患名の検索は容易となり,最終的に診断の意志決定となる.
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