今月の主題 腎疾患—早期診断から管理まで
腎臓の生理学
今井 正
1
Masashi Imai
1
1国立循環器病センター研究所薬理部
pp.394-398
発行日 1984年3月10日
Published Date 1984/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218926
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腎臓の主要な機能の1つは,その排泄機能を介して,体液量や体液組成を調節したり,代謝産物や薬物などを排泄することである(図1).このような排泄機能のほかに,腎臓はまた臓器としても重要な働きをしている.腎臓は肝臓と並んで物質代謝全般に重要な役割りをはたしているばかりでなく,レニン・アンギオテンシン系,カリクレイン・キニン系,プロスタグランジン,ビタミンD3,エリトロポエチンなどのホルモンまたはオータコイドの産生臓器でもある.
腎臓を構成する基本単位はネフロンであるが,これは血管系と尿細管系とが糸球体を介在して密接に結びついたものである(図1).したがって,腎臓の機能も血行動態,糸球体濾過,尿細管機能の三者が密接な関連をもって維持されている.これら三者を含めた腎機能は腎臓自体の持つ自動調節能のほかに,神経やホルモン,オータコイドなどの体液性因子による微妙な調節機能によって調節されているのである.そこで,腎臓の機能を血行動態,糸球体濾過,尿細管機能の3つの面から基本的な事項を簡略に述べる.
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