今月の主題 高血圧症—今日の知識
治療
Ca拮抗薬
佐藤 孝一
1
,
青木 久三
1
Koichi Sato
1
,
Kyuzo Aoki
1
1名古屋市立大学医学部・第2内科
pp.1994-1997
発行日 1982年11月10日
Published Date 1982/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218014
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動脈平滑筋の収縮におけるCa++機能の役割
骨格筋内のCaイオン(Ca++)の増加は,アクチン線維とマイオシン線維の重なり合いを増加し,筋長を短くする.この現象が筋収縮である.EGTA〔Ethylene glycalbis(β-aminoethyl ether),N,N'-tetraacetic acid〕はCa++と結合してキレート結合物(chelate compound)を造り,Ca++機能をなくす.EGTAを含む溶液で灌流した心臓・血管の壁は柔軟になり,心臓内腔・血管内腔は拡大する.心筋・血管平滑筋(血管筋)は,EGTAによりCa++機能が除去されて弛緩する.この現象は,骨格筋でみられる筋の弛緩と同じでCa++機能の除去による.骨格筋,心筋,血管筋,腸管平滑筋,および気管支平滑筋などの筋におけるCa++機能をEGTAは除去する.EGTAのCa++拮抗作用には,臓器と細胞への特異性と選択性がない.
心臓・動脈の心筋・動脈平滑筋(動脈筋)のCa++機能を特異的・選択的に,強力に抑制するCa++拮抗薬ニフェジピン(nifedipine,アダラート®,セパミット®)が発見された.
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