今月の主題 感染症と免疫
感染症の診断
病態スクリーニング検査の考え方
河合 忠
1
Tadashi KAWAI
1
1自治医科大学・臨床病理学
pp.214-215
発行日 1982年2月10日
Published Date 1982/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217615
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感染症を診断する場合,もっとも確かな方法は病巣から病原体を分離・同定することである.しかし,分離菌が必ず病原体であるとは限らない.また,感染後日時が経過したり,検査以前に抗生物質などが投与された場合には病原体の検出が不可能となる.このように,患者から病原体を分離・同定することがすべての感染症で可能なわけではない.そこで,感染症の間接的な診断法として,病原体の感染によってひき起こされる生体反応を検索することが行われている.生体反応に基づく臨床検査は大きく,①非特異的反応と,②血清学的反応に分けることができる.前者の非特異的反応はとくに病態の把握に役立ち,以下に主としてこの点を中心に述べる.血清学的反応によるのが,他項でとりあげられる血清診断である.
感染症においては,感染病巣あるいは遠隔臓器に多かれ少なかれ組織の破壊があり,それに対応した生体反応が現れる.臨床的に重要な検査所見としては,血液像の変化,赤沈値の亢進,および血漿蛋白の変動である.これらの変化は感染症に特有なものではないが,くり返し検査することによって病態像を把握するのにきわめて有用である.
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