今月の主題 心エコー法の現況
臨床診断
虚血性心臓病(心筋梗塞を含む)―診断法としての役割
井上 清
1
,
植田 桂子
1
Kiyoshi INOUE
1
,
Keiko UEDA
1
1東京警察病院・循環器センター
pp.1358-1363
発行日 1981年8月10日
Published Date 1981/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217282
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今から10年前,筆者らが初めてMモード心エコー図法を急性心筋梗塞例に応用し,梗塞部位心室壁の収縮運動異常を観察した(Inoue:Circulation,1971).当時の装置は最近のものに比べて解像性能が劣ってはいたが,この報告は昨今の梗塞に伴う心室壁運動異常すなわちventricular asynergyを非侵襲かつ視覚的に捉え診断する梗塞心エコー図法普及の嚆矢となったものである.
虚血性心疾患領域での心エコー図診断法の役割は最近重視されており,装置と検査手技の進歩に伴ってその応用範囲も拡充され,単に虚血性心疾患の存在を疑う手がかりとしての心室壁asynergyの検出のみに止まらず,積極的に梗塞の部位と大きさを判定する,梗塞に合併する心室瘤を診断する,冠動脈の狭窄・奇形・動脈瘤を発見するなどの方面へ拡充されてきている.この辺の背景や詳細は最近のKotlerの総説1)にゆずるので参考にしていただきたい.
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