臨時増刊特集 これだけは知っておきたい診断のポイント
XIII.皮膚疾患
多型ないし異型浸出性紅斑 VS 薬疹(汎発性)
今村 貞夫
1
Sadao IMAMURA
1
1京都大学医学部・皮膚科
pp.2132-2133
発行日 1980年11月20日
Published Date 1980/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216908
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なぜ鑑別が問題となるか
皮膚に発生する紅斑症には,多型ないし異型浸出性紅斑,遠心性環状紅斑,血管神経性環状紅斑,紅斑性狼瘡など独立した疾患単位と考えられるものがある.一方,薬剤の摂取によって発生する薬疹は,薬剤の種類,個体の差異により湿疹,紅斑,紫斑,水庖,じん麻疹,座瘡,苔癬,固定疹などさまざまの形態を示すが,そのうちで最も多いのは,紅斑型のものである.紅斑型には,アプレゾリンやヒダントインによる紅斑性狼瘡様の皮疹やサルファ剤やサリチル酸剤による結節性紅斑様の皮疹もあるが,大多数は不定の紅斑が播種性に発生するもので,麻疹型,狸紅熱型,多型紅斑型などと呼ばれているものである.
紅斑の発生が薬剤に起因するものかどうかを鑑別することは,治療と予防の両面でとくに大切である.治療の面では,薬剤に起因する場合には,該当薬の除去なしには完全な治癒は期待できず,また逆にそれを除去するだけでも自然に改善がみられる.一方,予防の面では,起因薬を発見しその再摂取を行わなければ,皮疹の再発は防止できるという点で重要である.
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