臨時増刊特集 これだけは知っておきたい診断のポイント
VIII.免疫・アレルギー疾患
アナフィラキシー VS 血管神経浮腫
宮本 昭正
1
Terumasa MIYAMOTO
1
1東京大学医学部・内科物理療法学
pp.2024-2025
発行日 1980年11月20日
Published Date 1980/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216860
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なぜ鑑別が問題となるか
抗原抗体反応の結果,化学伝達物質が遊離され,それがショック臓器に作用して発症する全身症状のうち,とくに重篤な症状を一般にアナフィラキシーと呼んでいる.抗原抗体反応に起因するので,多くは抗原への暴露(多くは注射,稀に経口摂取や吸入によることもある)から発症までの時間が短く(注射や吸入の場合には多くは数分以内,経口の場合には数時間後のこともある),因果関係がかなりはっきりしていることが多い.
初期症状として熱感,口内異常感,口唇の掻痒感,しびれ感,顔面または上半身の潮紅などから始まり,くしゃみ,悪心,嘔吐,頭痛,腹痛,腹鳴,顔面蒼白,不安感,発汗,尿意,便意,じん麻疹,浮腫,失禁,瞳孔散大,さらに血圧下降,脈拍微弱,虚脱,チアノーゼ,胸内苦悶,喘息様呼吸困難,最後には失神,全身痙攣,死の転機などをとる.もっとも,全例で上記の症状がすべてみられるわけではなく,症例によりこれらの一部のいずれかがとくに強調されている場合が多い.なお,主要症状は循環系の虚脱状態であって,血圧の著明な低下,脈拍頻数と微小化,チアノーゼ,咽頭浮腫と気道の痙攣である.これらの症状は急激に発症するが,適切な治療により速やかに寛解,消褪をみる,重篤な症状に対して速やかに適切な処置がなされなければ比較的短時間に不慮の転機をとりうる.
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