臨時増刊特集 これだけは知っておきたい診断のポイント
VII.神経・筋疾患
老人性振戦 VS パーキンソン病
亀山 正邦
1,2
Masakuni KAMEYAMA
1,2
1京都大学医学部・神経内科
2京都大学医学部・老年科
pp.2008-2009
発行日 1980年11月20日
Published Date 1980/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216853
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老人性振戦とは何か
老人性振戦―senile tremorの定義はしばしばあいまいである.しかも,たいていの教科書は明確な定義を示していない.たとえば,Merrittの‘A Textbook of Neurology’の第6版(1979)1)では,Yahrがこの項を書いている(Ceci1の‘Text-book of Medicine’でもsenile tremorのところはYahrが書いており,両者はまったく同文である).
「振戦は高齢者にはしばしばみられ,多くは上肢および頭部に起こる.パーキンソン病の振戦に比べて異なるのは,振戦が微細で,周期が速く,はじめは随意運動時にのみ起こる点である.経過とともに恒常的となり,安静時にもみられるようになる.麻痺の合併や筋トーヌスの異常はない.これらの特徴から,パーキンソン病の振戦とは区別される.原因は不明であるが,老人性振戦は,小脳性振戦と錐体外路性振戦との両者の特徴をもち,安静時にも運動時にもみられることから,これらを結ぶ系路の変性によると想定されている……」.
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