臨床医のための心の科学
血液疾患診療における心身医学
前沢 政次
1,2
1自治医大内科
2自治医大血液学
pp.1239-1241
発行日 1979年8月10日
Published Date 1979/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216015
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はじめに
心身症を心理的要因により引き起こされる身体病と考えると,血液疾患の中では,ストレスによる赤血球増多症1)と自己赤血球感作症候群2)があげられる.実際これらの疾患の頻度は低く,血液疾患を有する患者の診療上の問題となることは少ない.むしろ身体疾患が不治であることによる患者のさまざまな精神的反応に対しどう対処すべきかという問題が,われわれ血液科臨床医にとって大きな位置を占める.すなわち精神から身体へという問題よりも,身体の状態によってどのような精神的問題が起きてくるかにわれわれの感覚が醒めていなければならまいということを日頃反省させられている.本稿では前者の例として2疾患について述べ,後者の問題を具体的に取り上げ,今後の課題についても論じてみたい.
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