今月の主題 リポ蛋白—最近の知識
リポ蛋白代謝に関する検査
Phospholipase
野間 昭夫
1
1東京都養育院付属病院研究検査部
pp.2407
発行日 1978年12月10日
Published Date 1978/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402208383
- 有料閲覧
- 文献概要
Phospholipase(PLaseと略す)は存在部位の面からみると,①蛇毒の酵素,②消化酵素,③動物や微生物組織中の細胞内酵素,の3種がある.本題である血清リポ蛋白代謝に関するPLaseの問題は,現在のところ未だ検査レベルになっていないが,関連あるものとしてpost-heparin plasma中のPLaseについて述べる.
血清リポ蛋白の構造を考えると,中央にあると考えられるトリグリセリドにlipoprotein lipaseが働くためには,より表面にある燐脂質の分解が必要であろう.そこでpost-heparin plasma中にPLaseが存在するであろうことが容易に想像され,1964年VogelとZieve1)によって発見された.その後彼ら一派の研究によって,このPLaseは膵PLaseと異なり,①α位を分解する,②EDTA,Ca++などの影響を受けない,③熱に比較的弱い,などのことがわかった.その後Doizakiら,Vogelらはpost-heparin triglyceride lipase(PH-TGLと略す)と分離できないことから,疑問を残しながらも同一酵素であろうかと考えた.1972年にZieveら2)は,肝摘除ラットでPH-TGLとPLaseとは臓器由来を異にし,PLaseは肝に由来することを報告した.この頃より別項で示されたごとく,PH-TGL中に肝外性と肝性のTGLが存在することがわかった.
Copyright © 1978, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.