臨床化学分析談話会より・33<関東支部>
依然として問題の多いコレステロール測定法
野間 昭夫
pp.555
発行日 1976年5月15日
Published Date 1976/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542909379
- 有料閲覧
- 文献概要
第188回関東支部部会は昨年12月16日に開催された.当日は"コレステロール酵素法"がテーマとして取り上げられた.コレステロール(chol)定量法は古くから行われているにもかかわらず,多くの問題を抱えてきたが,酵素を用いて測定することが1972年Richmondによって発表されて以来,急速に発展し,我が国においても一昨年あたりより多くの機関で検討されており,先の第22回臨床病理学会でも20題近い演題が発表されたのは,広く注目されていることを物語る.談話会当日も熱心な会員が多く集まり,熱気を感じつつ開始された.
まず酵素法の問題点について虎の門病院中山年正先生が講演された.用いられているchol水解酵素(CEH)とchol酸化酵素(COD)とを分けて,歴史的なことから始められ,CODが既に1948年に報告されているとのことに筆者も驚かされた.文献的考察から先生が行われた種々の検討に移り,特に表面活性物質の問題について多くの興味ある結果を示された.すなわち混濁血清と表面活性物質との関係,更にCODおよびCEHを加えた場合の影響などで,特に花王石鹸からのhydroxypoly-ethoxydodecaneおよびTriton X−100を血清に加えると濁りの出るものがあり,それは酵素法で高値を示す.これに反しベーリンガーのhydroxypolyethoxydodecaneではそのようなことは認めないとのことであった.
Copyright © 1976, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.