今月の主題 デルマドローム—内科疾患と皮膚病変
トピックス
内臓悪性腫瘍のデルマドローム
関 建次郎
1
,
千葉 紀子
1
1聖マリアンナ医大皮膚科
pp.1600-1601
発行日 1978年11月10日
Published Date 1978/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402208096
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はじめに
内臓癌,悪性リンパ腫,白血病などに伴う皮膚病変のなかには,非特異的な皮疹も数多く含まれる.汎発性皮膚掻痒症,慢性蕁麻疹,痒疹などがそれである.本稿では比較的特異的なものをとりあげたい.なかには皮膚疾患と内臓悪性腫瘍との関係が確定的であり,疑いをさしはさむ余地のないものもあるが,両者の合併頻度があまり高くないため,人によっては疑いをさしはさむものも含まれる.また,現在なお内臓悪性腫瘍と関係ある皮膚病変の発見,確立のための努力が続けられており,年を追って新症状の追加もある.しかし,皮疹の発生機序まで,明らかにされたものは少ない.
Curth(1976)は皮膚疾患と内臓悪性腫瘍との因果関係の立証に6項目をあげている.①両疾患、がほとんど同時に発症すること(例;皮膚筋炎).②両疾患が平行した経過をとること(例;悪性黒色表皮腫).③皮膚,内臓両症状とも遺伝に基づく症候群の一部である場合(例;Gardner症候群).④ある皮膚疾患と合併する悪性腫瘍が一つの特異的な腫瘍である場合(例;悪性黒色表皮腫と腺癌との関係).⑤皮膚疾患が普通よくみられるようなありふれたものでないこと(例;Erythemagyratum repensのようにユニークな皮疹であること).⑥皮膚,内臓両疾患の合併率が高率であること.以下,悪性腫瘍に関連する皮膚疾患をあげるが,なお到底これに尽きるものではない.
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