教養講座・比較生物学 生命と環境との調和
水と電解質—腎機能の進化を中心に
折田 義正
1
1阪大第1内科
pp.413-416
発行日 1978年3月10日
Published Date 1978/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207796
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はじめに
今からちょうど100年前の1878年,Claude Bernardは「動物は二つの環境を持っている.すなわち動物が存在している外部環境milieu extérieurと臓器組織の各部分が生きているmilieu intérieurである.高等動物は真の意味でmilieu extérieurに生きているのではない.milieu intérieurという体液はすべての組織を灌流しており,これにはリンパ液,血漿などが含まれる」と指摘した.この文章はHalldaneにより「このような含蓄深い文章が生理学者によって書かれたことはない」と評価されており,事実,動物の体液をこのように深く洞察したことは驚異に値する.
現在の進んだ測定技術によって,ヒトその他の動物の細胞内液と細胞外液の間に,成分に大きな差異のあることが明らかとなってきた.この細胞外液,内液の成分の恒常性を保つことは,代謝,遺伝情報の伝達とならんで,生命にとって重要な問題であり,この問題の解決の仕方を学ぶことは,生命への理解を深めることとなろう.
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