私の経験例
難治性の中耳炎として加療されていた上咽頭癌の一例
瀬古 敬
1
1京都市立病院内科
pp.1788
発行日 1977年12月5日
Published Date 1977/12/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207511
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患者は67歳男.生来健康であったが,1年前より左耳に蝉の啼くような耳鳴りを生じ,左中耳炎として近医で加療をうけていた.しかし,再燃を何度もくり返していた.半年後,舌の左側のしびれ感と味覚障害が出現,やがて左顔面のしびれもきたすようになり,さらに複視と両側頸部のリンパ節腫脹出現のため1976年3月当院受診,malignant lymphomaを考え入院.しかし,リンパ節生検では未分化癌ということであった.
Anisocoria(+)(左<右),対光反射は直接,間接とも左で低下,左外転神経麻痺あり,胸部X線異常なく,胆嚢造影,胃食道造影,注腸造影など異常なし,脳波で左側頭部に徐波をかなり認める.血液,生化学的検査では異常なし.
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