今月の主題 呼吸不全とその管理
急性呼吸不全の治療
肺洗浄療法
吉良 枝郎
1
1自治医大呼吸器内科
pp.1567-1569
発行日 1977年11月10日
Published Date 1977/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207450
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肺洗浄法の適応
肺洗浄,正確には気管支・肺洗浄bronchopulmonary lavageはRamirez-R, J.1)により肺胞蛋白症の治療法として臨床に導入されて以来,一般に注目されてきているが,Ramirez-Rの発表以前に閉塞性肺疾患,とくに慢性の喘息重積状態の治療法として,方法には差があるがThompsonら2)により報告されている,Thompsonらの成績は29例の慢性気管支炎を合併した喘息,1例の純粋な喘息,15例の慢性気管支炎を合併した肺気腫の計45例の症例についてのものである.
患者自体の咳嗽・痰喀出努力でも,また経気道性の加湿,postual drainage,ステロイド剤を含め気管支拡張剤,喀疾融解剤の十分な使用によっても排除しえない気道内分泌物の貯留,また肺胞蛋白症の場合のように肺胞腔内を充填する物質が存在して,患者は高度の呼吸不全状態にある場合に本療法が治療法として適応となる.また肺癌症例の細胞診,肺感染症症例の細菌学的検査,気道内,肺胞内に貯留する物質の病理学的特色の把握など診断的目的にまで本法を拡大使用しうる.
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