今月の主題 めまいの基礎と臨床
各種疾患と各科の「めまい」
婦人科と「めまい」
馬島 季麿
1,2
1日大
2公立阿伎留病院
pp.724-725
発行日 1977年5月10日
Published Date 1977/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207198
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はじめに
「めまい」は婦人科領域でもかなり頻発する症状である.しかし,単独に「めまい」のみを訴えてくる場合は稀で,多くはpsychovegetative Symptomeの一つとしての「めまい」である.発生年齢は20〜30歳代にも起こるが,40〜50歳代の更年期婦人に最も多く発生する.
筆者はかつて更年期障害(すべての型を含む)と「めまい」について調査したが,その結果はつぎのとおりである.「めまい」は更年期障害の50.8%に発生しているが,閉経前(48.0%)よりも閉経後(66.7%)に多い。閉経後更年期障害では,「めまい」は頭痛や肩こりについで多い.CMIテストでは,筆者の行っている分類で,III〜V型(自律神経失調=自失症状15点以上,自失的)が45.9%,IV型(自失症状,精神症状ともに15点以上,心身症的)が34.5%で,両者の合計は80.3%の高率であった.自律神経検査では自失が81.0%で,CMIのIII〜V型とIV型の計80.3%とほぼ同じ頻度であった.なお,自失のうちではP型(交感神経緊張低下)が66.0%で過半数を占めた.これらの事実から,更年期障害としての「めまい」は自失と極めて密接な関係があり,自失性めまいといっても差し支えないであろう.
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