忘れられない患者
花の壷
佐藤 哲
1
1国立仙台病院内科
pp.1604
発行日 1976年11月10日
Published Date 1976/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206848
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付添婦をしていた中年に近いある婦人が,突然診察を求めて来た.昭和23年の夏のことで,病院にはまだ復員した肺結核患者が多ぜい入院していた.
その婦人は,両肺尖部に小さな空洞が散在しており,本人の訴えである近頃の微熱は,病巣から考えると,今に始まった症状ではないはずである.喀痰はガフキー2号.いつ感染したものか?訊ねてみると,確かに疲労感はしばらく前からで,当院に来てからではない.しかし,働いていると紛れるほどである.じっとしているとかえって体がだるく,つらいのだ,という.
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