今月の主題 内科疾患としての先天性代謝異常
溶血性貧血をみたとき
診断と治療
山口 潜
1
1虎の門病院血液科
pp.936-937
発行日 1976年7月10日
Published Date 1976/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206641
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先天性の溶血性貧血は,通常赤血球自体に欠陥があって溶血の亢進をみるもの(内因性溶血性貧血)と考えられている.内因性溶血性貧血の治療は,今日のところ摘脾と輸血に限られると称しても過言ではない.摘脾は,遺伝性球形赤血球症ではほとんど常に著効を認めるが,他の疾患では適応を十分に選択する必要がある.輸血は,一般に先天性溶血性貧血例の患者体内で正常人赤血球が正常の寿命を保つので有効であるが,くり返し輸血を行った場合には,同種抗体の発生による輸血反応が問題となることが多い.
日本人に比較的頻度の高いものとして,遺伝性球形赤血球症,赤血球酵素の欠乏ないし異常を伴う先天性非球形赤血球性溶血性貧血,先天性楕円赤血球症,行軍血色素尿症などがあげられ,このほか日本で稀にしかみられないものとして,口唇赤血球症候群,異常血色素症,サラセミア,不安定血色素症などがあり,当科で現在長期観察中のβ-サラセミアの摘脾例についてはすでに報告1)した.
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