今月の主題 痛みとその対策
本態のはっきりしない痛み
精神科的な痛み
柏木 哲夫
1,2
1淀川キリスト教病院精神神経科
2阪大精神神経科
pp.632-633
発行日 1976年5月10日
Published Date 1976/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206554
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痛みはすべての臨床領域にわたって広くみられ,日常の臨床の場で重要な位置を占めている.痛みは客観化されうる訴えではなく,患者の主観的な体験に基づく訴えであるが故に,臨床的アプローチの困難さがあり,この点で精神科との深い関連性が生じてくる.痛みを主訴として各科の外来を訪れる患者は非常に多いが,その痛みの原因となる身体疾患が発見できない場合,その痛みがなんらかの精神科的な疾患の一症状である可能性を常に念頭におく必要がある.痛みを心理学的,精神医学的,精神身体医学的にとらえた研究はフロイトをはじめ多数あるが,日常の臨床の場で参考になると思われるものをあげておく1〜8).以下,痛みが前面に出やすい精神科疾患についてその特徴を概観してみる.
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