今月の主題 甲状腺疾患のすべて
臨床的アプローチ
甲状腺炎の病態と治療
森田 陸司
1
1京大放射線科
pp.1386-1387
発行日 1975年8月10日
Published Date 1975/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206183
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急性化膿性甲状腺炎
病因と病理 通常,頭部や頸部の感染巣より,二次的に甲状腺内に化膿巣を作る稀な疾患である.起炎菌はstrePtococcusやPneumococcusのことが多い.病理組織像は局所のnecrosisと多核白血球浸潤,それに続く線維化が特徴的である.
臨床症状と検査所見 悪寒,戦慄,全身倦怠の全身症状とともに,前頸部に激しい痛みをきたし,しばしば耳,下顎,後頭部に放散する,甲状腺部は発赤,腫脹と疼痛が強く,頸部リンパ節も腫大する.leucocytosisがあり,時に血中thyroxine量の増加(甲状腺破壊による貯蔵ホルモンの血中流出)を示すことがあるが,甲状腺機能は正常である.シンチグラムは病変部の取り込みが抑えられcold noduleに似た像を呈す.典型的なものは診断が容易であるが,時に亜急性甲状腺炎,嚢腫への出血,未分化癌,慢性甲状腺炎の急性増悪と鑑別する必要がある.
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