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世界中の学者の寄稿による12章
Paul N. Yu, John F. Goodwin監修のProgress in Cardiology第3巻は,1,2巻と同じ形式を踏襲したもので,世界中の学者の寄稿による12章から成り立っている.
第1章では,冠動脈疾患の疫学がMinnesota大学公衆衛生のBlackburn教授によって取り上げられ,心筋硬塞のRisk Factorが爼上に乗せられ,第2章では,心臓の刺激発生と興奮伝導の問題が,Atabarna大学のMc Lean, Weldo博士,James教授によって取り扱われ,解剖学的ならびに生理学的に明快な説明が与えられ,続いて第3章では,南アフリカ共和国のSchamroh教授が心室性不整脈の成因と機構について,基礎的な法則を懇切に説明した後,種々の心室性不整脈の発生の一元的な考え方を提案している.第4章は,運動循環器病学とでもいうべきもので,SeattleのBruce教授によって,最近の運動負荷試験の生理,解釈,テスト中の注意,運動に対する適応の問題等々が詳しく論ぜられ,第5章では,IrelandのPantridge教授によって,急性心筋硬塞発作後1時間以内に現れる不整脈の問題が取り上げられ,数時間して現れる不整脈と異なり,植物神経の関与が大きいことが論ぜられている.第6章では,ParisのMeyer教授により,高血圧の病態生理とレニン,アンジオテンシン系の問題が基本的にかつ批判的に取り上げられ,第7章では,Goodwin教授,Hallidie-Smith博士によってEisenmenger症候群が極めてオーソドックスに取り扱われている.第8章では,英国のLeeds大学Linden,Harry教授が薬剤の評価のしかたの原理と方法を述べつつ,βプロッカー,propranololの問題点を取り上げ,第9章では,LondonのRoss,Parker博士によって弁置換の現況が述べられ,第10章では,オーストラリアのPitney教授によって長期抗凝固療法の問題が簡単に述べられている.第11章は最近進歩してきたEchocardiographyに関するもので,RochesterのShah博士,Gramiak教授が,その原理,診断価値を論じ,次いで多くの先天性ならびに後天性心疾患のEchocardiographyの特徴を簡潔に述べている.そして最後の第12章はオーストラリアのMc Credie博士による肺水分量の測定であって,現在用いられている肺水分量測定の価値と制限,および種々の心肺疾患の肺水分量の問題が論じられている.
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