今月の主題 糖尿病への新たなる対処
この病態をどう扱うか
虚血性心疾患を合併したとき
水野 美淳
1
1東女医大内科
pp.792-793
発行日 1975年4月10日
Published Date 1975/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402205999
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糖尿病に合併した虚血性心疾患の特徴
糖尿病者には非糖尿病者に比べて心筋硬塞で死亡するものが多いとされているが,心筋障害と糖尿病者は共に高齢者に多い疾患であり,かつ非糖尿病者でも心筋硬塞時には糖代謝異常を伴う.したがって,これまでの統計的な比較の基礎となっている糖尿病者,非糖尿病者の群別は極めて不確実な要素を含んでおり,単純な数値の比較はできない,しかし,それらを考慮して,数の上から糖尿病者には心筋硬塞が多いと一般に考えられ,Framingham Studyにおいても30〜62歳の住民を16年間追求した成績では,肥満,高脂血症,高血圧を考慮しても糖尿病者には心血管系死亡が多かったという3).しかし,それならば,糖尿病の存在は心筋障害の発生を促進しているはずである.ところが心筋硬塞死亡例については,心筋硬塞が糖尿病者では,対照群より若年で起こるという成績は得られていない.質的にも心筋障害,動脈硬化で糖尿病者に特徴的なものは知られていない.
糖尿病者の心筋障害に多少の特徴があるとすれば,次のごとき非糖尿病者との差異が考えられている.
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