特集 これだけは知っておきたい治療のポイント
III 消化管
4.腸の機能障害とその対策
心因性慢性下痢症の治療
河野 友信
1
,
中川 哲也
1
1九大・心療内科
pp.1674-1675
発行日 1973年11月20日
Published Date 1973/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402205056
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心因性慢性下痢症とは,心理的因子の関与した慢性の機能性下痢症,つまり過敏性大腸症候群のうち,下痢症状を呈するタイプと考えてよいだろう.これには,従来神経性下痢nervus diarrheaといわれた持続下痢型のものと,下痢便秘交替型の下痢症,さらに,とくに心因の関与がつよい粘液分泌型(粘液病痛colica mucosaといわれてきたもの)がある.
本症では,単に下痢という身体症状を対症的に治療するだけでは問題の解決にならず,むしろ治療の重点は,心因の処理にあるといってよい.発症の誘因になったり,病気を修飾している心理的因子,つまり身体症状の背後にある心理的不安の除去や,症状に対する過度の病感の修正が,治療の重点になる.
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