今月の主題 高血圧とその周辺
高血圧症と臓器変化
高血圧と腎臓
尾前 照雄
1
,
上田 一雄
1
1九大・第2内科
pp.1414-1416
発行日 1973年11月10日
Published Date 1973/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402204965
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
高血圧に伴っておこる臓器変化のうち,腎臓の病変はきわめて重要である.腎臓の病変(いわゆる腎硬化症)それ自体が死因となることは,悪性高血圧の場合を除いては少ないが,高血圧の維持と血管病変の進展に重要な役割を演じている.高血圧の病因論の歴史をふりかえると,高血圧と腎病変の因果関係は,最も古くから注目されてきたもので,Goldblattら(1934)の腎動脈狭窄による実験的高血圧の作製は,高血圧の際に腎硬化性病変が高率にみられることにその研究のいとぐちがあった.すなわち,腎虚血が高血圧の原因となるという考えである.その後の研究の多くは,腎の病変は高血圧の結果おこる,あるいは高血圧がそれを促進するという考えを支持しているが,高血圧症の運命に腎臓の病変が重要な役割を演ずることについては異論がない。
高血圧に伴う腎病変としては,動脈硬化性腎硬化(arteriosclerotic nephrosclerosis),細動脈硬化性腎硬化または良性腎硬化(arteriolosclerotic nephrosclerosisまたはbenign nephrosclerosis),悪性腎硬化(malignantnephrosclerosis)の3種がある.
Copyright © 1973, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.