今月の主題 冠硬化症の新しい知見
冠硬化症の診断
冠硬化症の診断に必要な血液化学的検査
玄番 昭夫
1
1群大・中検
pp.176-177
発行日 1973年2月10日
Published Date 1973/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402204600
- 有料閲覧
- 文献概要
冠硬化症と血液化学的検査
冠硬化症の診断上必要な血液化学的検査には,その目的から次の2つの場合が考えられる.すなわち,1)冠硬化症と診断され,あるいはその結果虚血性心疾患が発現した際の検査と,2)予防医学的見地から早期診断のために行なう検査との2つである.
しかし実際には虚血性心疾患が出現しない時期における冠硬化症の診断に対し,決め手となるような特異的な血液化学的検査法というものがあるわけではない.それは心筋硬塞症という発症があり,その時点から血中諸酵素がはなぱなしく上昇 してくるのとは異なり,この以前の状態における冠硬化症では一般の生理的加齢現象の際に認められる血液化学的変化しかないからである.この意味から,いわゆる成入病検診と称し,全身状態の偏向性を見るために行なわれる一般的な多種目スクリーニングテストを定期的にくり返し実施することが,冠硬化症の早期発見(予防),あるいは診断のための必要な血液化学的検査ということができる.しかしそうはいっても,同疾患と密接に関係すると考えられている脂質代謝を中心として検索を進めるのが常道であり,また虚血性心疾患の可能性を考慮すればトランスアミナーゼ,LDH,CPKといった血中諸酵素の測定も必要になってくる.さらに化学的な検査ではないが,凝固線溶系の検査も必要な検査項目となる.
Copyright © 1973, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.