今月の主題 冠硬化症の新しい知見
冠硬化症の治療
冠硬化症の予防
八杉 忠男
1
,
清水 隆
1
1日大・第2内科
pp.194-195
発行日 1973年2月10日
Published Date 1973/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402204607
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虚血性心疾患の予防はprimary prevention(真の意味の予防)とsecondary prevention(再発予防)に分けられるが,虚血性心疾患の原因となる冠動脈硬化の予防はprimary preventionにつながるのは当然である.
Stamlarは虚血性心疾患発病のmajor risk factorとして,1)高コレステロール血症,2)高血圧症,3)紙巻タバコの喫煙,4)糖尿病,5)過体重,6)若年者で虚血性心疾患罹患の家族歴を上げているが,冠動脈硬化はきわめて若年時代より始まっているもので,実際,真の意味の予防では,普通臨床検査上,特に異常所見の表われない頃から開始することが望ましいことは,朝鮮戦争で戦死した20歳台の兵士にもかなり高率に冠動脈硬化の進展がみられたことからも明らかである.この点American Heart Associationのポスターに"心臓病の予防は少年時代から"というのがあるが,まさに慧眼というべきであろう.このような意味での冠動脈硬化の予防は,高血圧や他のrisk facforに対する対策ももちろんであるが,高脂血症のコントロールが最も重要になってくる.
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