特集 これだけは知っておきたい診断のポイント
XVII.一般症状
2.症状からなにを考えるか
腹部膨満を訴える患者
三浦 洋
1
1三浦胃腸クリニック
pp.1542-1544
発行日 1972年7月5日
Published Date 1972/7/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402204380
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
腹部膨満を訴える患者のうちには,消化管穿孔や,急性イレウスなど緊急手術を要するものから,腹部内臓の良性または悪性腫瘍のように正しい診断にもとづき,手術により初めて根治しうるもの,また胃腸アトニー症のごとく単に機能的な障害に起因するもので,多少診断が遅れても生命に関する問題の起こらないものまであり,これほど千差万別のものは少ないと考えられる.
このように腹部膨満という症状は程度の差こそあれ,腹部内臓疾患ほとんどすべてに広く現われるものであって,この意味からいえば,そのような症状を訴える患者の診断のポイントということになれば,腹部内臓疾患をどのようにうまく鑑別するかということにあると考える.ここでは読者の大部分が臨床医家であると考えるので,実際的な見地に立ってごく臨床的なことがらについて私、の診断の進めかたを述べることにする.
Copyright © 1972, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.