特集 これだけは知っておきたい診断のポイント
VI.代謝糸
5.血漿蛋白異常よりなにを考えるか
血清糖蛋白の臨床的意義
堺 隆弘
1
1東大・第1内科
pp.1206-1209
発行日 1972年7月5日
Published Date 1972/7/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402204255
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糖蛋白とは
糖蛋白とは蛋白と糖の複合体であり,その生理的な役割は多方面におよび,糖蛋白,ムチン,酸性ムコ多糖の名で呼ばれている.酸性ムコ多糖は結合織の基質として組織中に広く分布している.ムチンは腺から分泌される粘液物質,すなわち,唾液腺ムチン,胃ムチン,卵巣嚢腫ムチンなどがある.
血清中の糖蛋白はこれらの組織中のムコ多糖,ムチンが糖部分を主とするのとはやや異なり,蛋白を主とし,蛋白の物理化学上の性質を形成する糖部分が蛋白のアミノ酸の側鎖にひげ状に付着している.現在α1酸性糖蛋白(オロソムコイド),トランスフェリン,フィブリノーゲン,免疫グロブリンを初めとして数多くの蛋白が糖蛋白として分離されている.これらの糖と蛋白の比は種類により大幅に異なっている.糖は主として,ガラクトース,マンノースなどの六炭糖(ヘキノース),ガラクトサミン,グルコサミンなどの六炭糖アミン(ヘキソサミン),および糖末端部分としてシアル酸を含んでいる.免疫グロブリンを除いて,主として肝で蛋白が合成され,糖部分がその蛋白と結合する.血清中の糖蛋白の異常が癌あるいは炎症組織中の糖蛋白の反映であるかは今後さらに検討されなければならない.
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