読後随想
薬事問題の盛況に拍車をかけるか—モートン・ミンツ著 佐久間・平沢訳「治療の悪夢」(上下2巻)(UP選書:900円)
長洲 光太郎
1
1関東逓信病院外科
pp.1559-1560
発行日 1971年9月10日
Published Date 1971/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402203852
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ワシントンポスト紙の厚生省詰め記者モートン・ミンツが薬のインチキを暴露する記事を一書にしたのは1964年,題はThe Therapeutic Ni-ghtmareという.その改版はByPrescription Onlyと改題し,今度UP選書の中に上下2巻で邦訳出版された.薬事問題のうるさいときだから,この「問題書テーマブック」はそのさわぎにさらに拍車をかけるかもしれない.医療の悪夢とか,私は外科医者だから手術の悪夢とかいう問題をいつも考えるのだが,そういう点からみると本書は薬の害や,インチキ広告,医師会と製薬会社のなれあい,恐るべきクスリというような問題にかぎっていて,医療本質論ではないが,その広い薬事問題の提出のしかたは驚くばかりで,また一読に値する.
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